健菜玉緑茶をいただくようになって、20年になります。コーヒー豆や紅茶はあれこれ試し続けているのに、日本茶に保守的。購入するのは佐賀県嬉野の玉緑茶だけになりました。
いただきものがあるので、他の日本茶も煎れています。けれど、減る速度がおそくて、新しい茶筒の封を切る時は「今度こそ飲みきらなくては...」と気合いを入れるほど。玉緑茶のほうは、きっちりと減っていくのですが...。
さて、その玉緑茶の減り具合は、義母の滞在中はさらに早まります。その時は、食後やおやつ時だけでなく、朝食前にもお茶をいただきます。
義母に合わせて早起きして、向かいあって一服...。
すると、寝ぼけた体のすみずみが、金色透明なお茶とともにだんだん覚醒していきます。そのしみじみとおいしいこと。よい一日になりそうな気がしてきます。
この時の汲み出しは、丁寧です。
煎茶はお湯の温度によって,甘みと渋みのバランスが変わります。若い頃は、義母の前では、教科書どおり湯を低めに冷ましてから、急須に注いでゆっくり待ち、甘みと旨みを引き出すように煎れていました。でも、「朝のお茶はきりりとしているほうがいい」と、最近は、やや高い温度でさっと煎れ、渋味を立たせています。
どちらでも、義母は「あなたが煎れたお茶はおいしいわ」と喜んでくれます。じつは、玉緑茶は大雑把に煎れてもやっぱりおいしいのですが...。
そんな義母から一つだけ注文がつきました。それは、急須のお茶は最後の一滴まで絞り切ること。
「すると2煎めも結構おいしいの」と義母は言います。
「玉緑茶は3煎めもいけるわよ」
とも言っていました。少人数のわが家では、3煎めの味まで意識したことはありませんが、義母にとっては大切なことかもしれません。何しろ、故郷の田舎に隠居していた義母の家には、毎日、幼なじみや親戚、絵画教室の仲間などがやってきて、おしゃべりに花を咲かせています。きっと、みんな「このお茶、おいしいね」と言いながら、何杯もお替わりをするのでしょう。
わたしも歳をとり、1日を友だちとおしゃべりしながら過ごすようになれたら、「3煎めもいけるから玉緑茶が好き」と言うようになるのかもしれません。いえ、そうなりたいものです。
あ、その前に、義母がいないと寝坊して、朝は慌ただしいばかりという生活を変えて、目覚めの一服を習慣にするべきですね。
5月は新茶の季節。きっと嬉野でもお茶づくりが始まっていることでしょう。健菜の玉緑茶は、他所のように「新茶が、新茶が」と喧伝しませんね。少し熟成させるのが茶匠のこだわりとも聞きました。それでもやはり新茶は楽しみ。今年のお茶を待っています。(神尾あんず)
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