日本育ちの中国美食豚

昨年、食をテーマに開催されたミラノ万博では、和牛を積極的にアピールしていたようです。でも、私はその報道を「豚肉も発信すればいいのに」と歯がゆい思いで見ていました。なぜなら、じつは私、日本の豚肉は世界一だと思っているからです。

世界一の豚肉

 そもそもは25年前、エジプトで暮らしていた時期のこと。時々、無性に食べたくなるもののひとつがトンカツでした。イスラーム教では豚肉は禁止ですが、カイロの市場に週に1回だけ、豚肉を売ってくれる店がありました。ところがこれがひどい。トンカツどころか、どう料理してもおいしくなりません。
 そのころは、エジプトからヨーロッパに旅行する機会があると、豚肉料理をレストランでよく頼みました。けれど、ほぼ期待はずれ。かの地の豚肉はハムや煮込み向き。日本の豚肉がどれほど懐かしかったことでしょう。
 それから時間が経ち、今では日本の豚肉もピンキリだと分かっていますが、私の豚肉高評価は変わりません。海外の人がびっくりするに違いない、おいしい豚肉があるのです。金華豚はその代表。とても気に入っています。
 肉質はなめらかで脂肪が甘く、それでいながら味が濃い。あまり肉を好まない夫が、豚しゃぶなどは「胡麻だれも要らないね」とぱくぱくと平らげてしまいます。
 じつは、最初は少し不思議でした。中国には金華ハムを作るための特別な豚がいます。これはその豚でしょうか。
 でも少し違っていました。健菜倶楽部から届く金華豚は、原種ではありません。金華豚をはじめ中国原産の4種類の原種を掛け合わせて育成した日本生まれの豚種。与えるエサや環境にこだわり、極上の肉質をつくりあげていたのです。繊細な味覚をもつ日本人のために、日本人が生んだ豚肉でした。

待つ楽しみ

 じつは、今、わが家の冷蔵庫にも冷凍庫にも、豚肉はありません。金華豚が届くと、せっせと食べてしまうので、次の頒布まで、ストックがもたないのです。来月は、まず「白菜と豚肉の重ね蒸し」を作ろうと決めて、金華豚が届く日を待っています。そのとき、タイミングよく健菜のオレンジ白菜があれば言うことなし。想像しただけで、食欲がわいてきます。
(神尾あんず



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