先日、病院で検査を受けるために2日間、食事制限をしました。1日は絶食です。たった2日間のことなのに頭の中は、検査後に何を食べようかと、そればっかり...。
あれこれと思い浮かべ吟味の末に決めたのは、まず、ご飯(当然!)。アジの干物に玉ねぎの味噌汁、そして、きゅうりのぬか漬けです。病院から帰宅するなり、いそいそと夕食を作り、当たり前のご飯をしみじみと味わいました。
「わが家のご飯がどこよりおいしい」
心からそう思います。
それにしても、ぬか漬けが思い浮かんだのは、自分でも意外でした。最近、好き度が上がってきているみたい。
昔、ミュージシャンの友人(料理男子)から「ツアーの間、かわいいぬか床の子守をして」と言われ、漬け物樽を預かったことがあります。しかも、手塩にかけているぬか床をダメにしないよう、細かい指示書付き。それが面倒くさいのっ! その指示書どおり、毎日、ぬかを混ぜながら「かわいいぬか床?あほらしい」とつぶやいたものです。
無事に樽を返したときは「もう子守はしません」と宣言。こりごりではあったけれど、実はその間、否応なく(?)食べた自家製ぬか漬けは相当においしくて、「私もいつかやってみよう」と密かに思ったのでした。それが実現したのは20年後です。
いざ、始めてみたら、昔とは大違いの易しさ。健菜からはすでに完成したぬか床が琺瑯容器入りで届くので、そのまま漬け物が作れてしまいます。臭いもないし、冷蔵庫で保存すれば、毎日、かき混ぜなくても大丈夫。原料はいつも食べている健菜米の米糠なので、親近感もわいてきます。それに、時間が経つにつれて、漬け物の味がどんどんおいしくなるのは、元のお米がいいからに違いありません。いい仕事、してくれますよ。
私も、ぬか床をかわいいと思えるようになりました(笑)。
(神尾あんず)
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