駿河シャモ 頒布会

ボロボロレシピの鶏料理

 最近、「役立つレシピだけを残そう」と料理本の断捨離をしたら、見事なほど、くたびれたものだけが残りました。油や水の指跡があったり、書き込みがあったり......。もっともボロボロなのは、紙ばさみの中の手書きレシピたち。レポート用紙、ノートの切れ端と色や形はまちまちです。

「?」の走り書き

 二十数年前、年長の友人に料理を教わりながら書いたレシピの1枚には、「わかどり→?」と走り書きがあります。
 この時のことは、よく憶えています。教わったのは、いろいろな野菜と鶏肉をいっしょに焼くオーブン料理。「次回は若鶏1羽を塩釜にしてみたい」と提案すると、彼女から「若鶏ってブロイラーのことよ」と指摘されたのです。短期間で太らせるブロイラーは、食肉になる時は紛れもなく若いので、看板に偽りはないのだとか......。私は、仔羊と同じように量が少ない、高級食材だと思い込んでいました。
「柔らかいだけの若鶏より、歯応えがある成鳥がホントはおいしい」と言った彼女は、「よい鶏肉が手に入らない」と嘆いてもいました。きっと「昔のかしわの味」の記憶があったのでしょう。
 当時はむずかしかったけれど、今は、銘柄鶏や地鶏などが家庭でも手に入るようになりました。もし、わが家の駿河シャモを食べたら、彼女は「探していたのは、これ」と喜んでくれるにちがいありません。
 引き締まって弾力がある肉に、濃い旨みがあって、ガツンとくるおいしさ。夫と2人の食卓にはもったいなくて、親戚や友人が集まる時に、鶏肉料理を用意しています。残念ながら、料理の師である友人はすでに亡く、鶏料理をふるまうことはできませんが......。

断捨離できない

 鶏肉のオーブン焼きは、その後、何度も作ってきたので、今ではレシピを見ることはありません。改めて見直したら、作り方は自分流に大きく変わっていました。それでも、オーブン焼きを作るたびに、友人と若鶏のことを思い出すのです。ボロボロのレシピは断捨離なんてできません。
(神尾あんず)


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