窓から桜並木が見えるわが家では、満開時期に、毎年いとこ会を開いています。会の発足は15年前。「最近、冠婚葬祭(それもおめでたくない方)でしか顔を会わさないのは、いかがなものか」という会話がきっかけでした。
いとこ会の日、私は必ず「呉汁」を作ります。定例になった宴のシメは、素朴かつ渋めの郷土料理が定番です。
いとこ会発足当初は企画も開催時期もやや迷走しましたが、結局、わが家に集合が定例に。1年に1回、時期は春、ランチから始めて夕方に解散という内容に落ち着きました。そうなってみると、いとこ会は年中行事のようなもの。私にとっては1年の節目の一つです。
さて、その時、私が用意する料理も、好評だったものを繰り返しながら、次第に定番化。その筆頭が呉汁です。
とてもシンプルな料理ですが、ほろ酔い加減の参加者にシメの一椀として大好評なのです。「なぜか、同じようにできない」と言われていますが、それもそのはず。健菜の青大豆と青大豆味噌が合わさってこその美味。どちらか一方が欠けてもダメなんです。すべては素材力。そのおかげで「年に1度はここで呉汁を飲まないとね」と言われ続けています。
若い頃は缶詰の豆に頼っていた私。最初は青大豆の扱いに迷いました。ところが試しに作った「浸し豆」が意外なほどおいしくて、青大豆料理に開眼。健康効果も高いと知って、積極的に取り入れています。ご飯に炊き込む、素揚げして塩を降る、茹で豆をサラダにとレシピも増えました。例を挙げたら、シンプルなものばかりで我ながらあきれます。でも、素材に力があるのだからそれで充分! ですよね。
都会の二人暮らしは、季節行事と無縁になりがちですが、最近は、意識して取り入れるようにしています。日々の暮らしにメリハリを付けるのが大切だと感じていて......。
さて、3月はお雛様を片付けたら、桜の開花予想をチェックしつつ、わが家の年中行事であるいとこ会の準備。もちろん、呉汁は欠かせません。呉汁はいとこ会の行事食ですから。
(神尾あんず)
【呉汁の作り方】
※茹で青大豆を使ってもOK。 手早く完成します。
- ひと晩水につけておいた青大豆をブレンダーで潰す。
- 出汁(青大豆の5倍程度)に青大豆を加え、時々かき混ぜながら、ゆっくり煮込む。
- 青大豆味噌を溶き入れる。
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