粕漬けたくわん

杜氏由来の発酵文化

 「旬のたくわん」という言い方は奇妙というか、保存食にはあり得ないかもしれませんが、わが家にとっては1月がそれ。取り寄せているたくわんが、ご飯のお供に登場する季節です。健菜には「柿漬け」と「粕漬け」の2種がありますが、私は1年毎、交互に注文してきました。今年は粕漬けの番です。

「おいしい」を生む文化

 じつは、粕漬けたくわんを初めて試す時は、少し躊躇いました。苦手な奈良漬けに近かったら困るな、と。しかし、食べてみたら、イメージとは全くの別物。パリパリと歯触りがよくて、甘さもすっきり、味も上品です。それ以来、大好物になりました。おそらく、こんな独特のたくわんは滅多にないでしょう。
 発酵食の本によれば、酒粕の利用は酒造りと同時に始まり、奈良・平安時代には「酒もどき」として飲まれるだけでなく、料理にも使われていたのだとか。そして杜氏集団が酒造りを担うようになった江戸時代には、酒粕を使った郷土料理が生まれたそうです。酒造りを終えて農村に戻る杜氏たちが持ち帰る酒粕が、その材料になりました。
 なるほど。たくわんがつくられている新潟県吉川も杜氏の町。出稼ぎの男衆の土産だった酒粕を生かす方法が、代々伝えられてきたにちがいありません。
 杜氏文化が生んだ味。さすがです。

味の変化も楽しみに

   発酵食品がブームになってから、私も春に健菜で取り寄せた「酒粕」を冷凍して、毎日のお味噌汁に溶きいれるようになりました。コクと風味がグンと増すだけでなく、冬はカラダがほんのり温まって、胃腸の調子も整います。
 粕漬けたくわんにも健康効果を期待していますが、ポリポリとあとを引くので、つい食べ過ぎてしまうことが問題かな。時間が経つにつれて熟成が進み、甘みが増してくるのも楽しみの一つですが、そんな変化を味わうためにも、今年は少しずつ食べるようにしたいと思います。
(神尾あんず)

永田農法米の糠をベースに、渋柿を加えた 糠床に漬けたたくわんも販売しています。

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