「なすは地力でつくる」ということばがあります。肥料をたくさん入れて栽培しろという意味ですが、その通りにすると立派な「ボケなす」ができます。歯触りがふわふわで包丁を入れるとたちまち切り口が褐色に変色してしまいます。だから「なすは水にさらしてアクを取る」ことが料理の常識になってます。しかし永田農法で栽培したなすには、その必要はありません。
それどころか、生でかじっても渋みがないので、サラダとしても食べられます。水や肥料を極力控えて栽培することで、アク=褐変物質の生成が抑えられるからです。「傑作」ともなると、皮ごと丸かじりできて、サクサクと弾力ある歯触りが楽しめるばかりか、りんごにも似たさわやかな香りさえします。糖度は6度から7度もあって、甘く、切り分けて30分経過しても、変色しません。
健菜倶楽部では、冬季は沖縄や熊本など南国から、夏は山梨県などで栽培しています。熊本県玉名市で長なすを栽培する田畑三次郎さんは、「なすはゆっくり太ったものがうまい」と言い切ります。収穫の最盛期は1月から3月の真冬です。水や肥料を絞り、冬の寒さを利用してゆっくりゆっくり太らせることで、栄養価と旨みを高めています。
アクがないからサラダに、身が緻密で崩れにくいから煮込み料理にと、いままで向かないと思っていた調理方法にも、挑戦していただける素材です。また永田農法のなすは、火通りが早いのに油をあまり吸わないので、炒め物にしてもさっぱりいただけます。煮ても形が崩れにくく、いつまでも弾力性があります。だから煮込み料理にすると味ばかりか、見た目も美しく仕上がります。
身体の熱を冷ましてくれる効果があります。
保存は1個ずつラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。ヘタの部分から水分が蒸発し、しなびやすいので、ヘタは特にきっちり包みましょう。