ジャージー牛乳

純白はおいしさの証し

ジャージー牛乳
ジャージー牛は、イギリス海峡の小島で、英国王室のために純粋飼育されてきた乳牛種。その牛乳は乳脂肪分が4.6%以上と高く、栄養価に冨み、濃厚でコクがあります。

 「乳牛には特別な飼料を与えて欲しい。そのミルクだけを会員に届けたい」
そんな健菜倶楽部からの依頼を聞いたとき、「那須牧場」の牧場長(当時)・川崎庚生さんの胸中はどんなだったのだろう。「素人が何を言うのか」との反感心が沸いていたとしても、不思議はない。なにしろ川崎さんをはじめ、同牧場のスタッフには「他にはない、おいしい牛乳づくりに長年こだわり続けてきた」という自負がある。

英国王室御用達のジャージー種

 日本の乳牛の99%近くはホルスタイン種だが、この牧場が飼育するのはジャージー種だけ。イギリス王室御用達のジャージー種は、ホルスタインに比べて体が小さく、搾乳量は3分の2にも満たない。しかし乳脂肪分が高く濃厚で、貴族の飲み物として大切に受け継がれてきた。
 川崎さんは、このジャージー種にこだわり、自家繁殖で54頭あまりだった乳牛を、200頭にまで増やしてきた。牛舎の周囲では農薬などを使わず、オーチャードグラスとイタリアンライグラスの2種の牧草を育て、たっぷり牛に与える。その他の飼料も、遺伝子組み換え穀類を使わないなど、安全に配慮した選別を重ねてきた。

牛は草食動物のはずだが・・・

 ふつう乳牛の飼料には、搾乳量を高めるために動物性たんぱく質(魚粉等)を混入する。酪農の世界では一般的な行為だが、「はずかしいことだね・・・」と、川崎さんは語る。健菜倶楽部の依頼は、完全な植物性飼料に切り替えることと、永田農法で栽培した緑茶のパウダーを乳牛に飼料に加えること・・・。どちらも常識はずれだった。
 実行すれば、ただでさえ少ない搾乳量はさらに減ることになるだろう。緑茶に含まれるカテキンの殺菌作用が、乳牛の体質改善につながることは予想できたが、飼料の内容が変わることで、乳牛にストレスになるとの危惧もあった。
 しかし川崎さんは「飼料を変える」と決断する。乳牛の健康に何が必要かを考えると、健菜倶楽部の方針は理にかなっている。また健菜たまごのおいしさが、その決断の後押しをした。

ダイナミックな変化

 スタッフが見守る中で、搾乳される牛乳は、毎日ダイナミックに変化していった。ジャージー種のミルクは入脂肪分が高くて、舌に絡みつくような後味が残る。乳臭いといってもいいほど。ところが特別飼料を食べ始めた乳牛のミルクは、味が濃いのに後味がさっぱりとしているのだ。黄色みを帯びていたその色も、真っ白く変わった。
 分析では乳脂肪分や無脂乳固形分、たんぱく質などの栄養価は変わっていない。しかし顕微鏡では、乳脂肪球の数が一般のジャージーミルクより少なく、輪郭のはっきりした球へと変化していた。
「でも本当に驚いたのは牛舎の臭い。糞尿が臭くないんです。ここまで気にならなくなるとは予想外でした」と川崎さんは語る。
 完全植物性のえさにすることで、搾乳量はさらに2割減ってしまった。「でもその分、おいしくなったのだから」と川崎さんはくったくがない。
 牛乳嫌いが「おいしいね」とゴクゴク飲み干す健菜ジャージー牛乳は、野菜同様、よりおいしいものをと考える生産者によって、その品質が支えられているのだ。

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