健菜の乳製品は、ゆっくりとつくられる。

那須高原・りんどう湖ファミリー牧場の一角で、健菜の乳製品は生まれる。
清潔で小規模な加工場だ。ここでどのように乳製品はつくられているのだろう。

 健菜の乳製品は那須高原でつくられている。那須連山の南側に扇状に広がる高原には、明治期に華族や政財界人の避暑地や農地が拓かれ、やがて湧水を集めて農地を潤す湖・りんどう湖が造営された。
 彩り豊かな自然に囲まれた地に、ジャージー牛を飼育する那須牧場がうまれ、その乳牛の加工場がりんどう湖ファミリー牧場内に設立されたのは約60年前のことだ。
 今回はファミリー牧場で乳製品の製造を担当している菊野泰佳さん(39歳)に話を聞いた。学生の頃から乳製品づくりに興味をもち、牧場の一員になった人物だ。

搾りたての風味を届けたい

 20年前、新人だった菊野さんは牧場の先輩たちの牛乳にかける熱い思いを目の当たりにしたという。
「先輩が日本一を目指して生産したミルクを引き継いだのですから、その特長を最大限に引き立てる乳製品をつくることがこだわりです」
 ジャージ種のミルクは脂肪分が高くてコクがある。さらに緑茶パウダーを混入した健菜独自の餌で飼育している那須牧場のミルクは、栄養やコクはしっかりしているのに、飲み口が爽やかだ。飲みやすい。
「その搾りたての味を味わってほしいんです」と菊野さん。
 牛乳は65度30分の低温殺菌、成分無調整だ。
「高温で一気に殺菌すると牛乳の味は変わってしまいます。ミルクに含まれる有用な菌も失われてしまう。原料の良さを生かすには"ゆっくり"がいいのです」

 「ゆっくり」は、他の乳製品のすべてに当てはまる。
 健菜ジャージーヨーグルトには、ドリンクタイプとハードタイプの2種類があるが、どちらも殺菌は75度20分。ミルクがもつタンパク質が変質しない方法だ。その後の、乳酸発酵もゆっくりと時間をかける。
 ドリンクタイプの乳酸菌は、酸味がまろやかなビフィズス菌を中心に、ハードタイプは、ブルガリア菌やビフィズス菌など4種で構成されている。ドリンクタイプは、「ごくごく飲める」ということがポイントだ。
「ここまで、飲みやすいヨーグルトは少ないでしょうね」
 一方、ハードタイプの開発では「食べやすくて、本格的であること」を重視した。生地には少し弾力があり、酸味は控えめ。そしてジャージー牛乳本来の、コクと甘さが味わえる。
「健菜ジャージーヨーグルトは、私たちがつくっているヨーグルトの中でもベストです」

塩×バターの妙味

 菊野さんは、フランス産のノアムーティエの塩で仕上げている健菜ジャージーバターについても「ベスト」という言葉を使った。バターは工程数が多く、こだわるポイントが多い。その全工程で「ゆっくり」が貫かれていく。例えば、ミルクから生クリームを分離するとき、殺菌、エージング(低温で生クリームの脂肪分が結晶化する工程)などなど......。
「効率にとらわれず、ベストな状態にすることを選んでいます」
 そんな菊野さんが健菜ジャージーバターの製造を通して、強く意識するようになったのは「塩の力」だという。
「ノアムーティエの塩を使うと風味がまったく違います。うちには他の塩の製品もあるし、国内外の海塩で試作もしましたが、健菜のように上品でほのかに甘い風味にはなりません」

 菊野さんは、「なぜだろう。ミネラル成分の違いかなあ」と言いつつ、言葉を続けた。
「ジャージーバターとフランス産の海塩は最強の組み合わせですね」
 さて、取材の最後に「これから」についてたずねた。
「少量でも、優れた乳製品をつくってきた牧場の伝統を守ると同時に、新たな探究も続けていきたいです」
 ちなみに、今、もっとも興味があるのはチーズだという。健菜チーズをご紹介する日も近いかもしれない。

 

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