健菜梅干し / ふっくらとろけて、いい香り

 健菜倶楽部の梅ぼしは夫と義母の好物です。ときどき我が家に滞在する義母は朝食に梅ぼしがあると、「朝の梅ぼしは1日の難のがれ」ということわざを必ずといっていいほど言いながら、梅ぼしに箸をつけます。ふつうは塩分が20%近くあるそうですが、健菜梅ぼしは塩分が13%と控えめなので、高血圧気味であることを気にしている義母も、手が出しやすいのでしょう。

まろやか味で何個もいける

 大粒でふっくら、実はもちろん皮までとろけるようにやわらかくて、薄紅の色も上品。熱々ご飯の上にポンとのせて、箸を入れると、はらはらとほどけるよう。ご飯の馥郁たる甘い香りと酸っぱい匂いが混じると、食欲がかき立てられます。
 減塩の梅ぼしは酸味がきついものですが、健菜梅ぼしは酸味がマイルド。これは、白ぼし後に、自家製の調味液に2年あまりも漬けて、味をまろやかに熟成しているからだそうです。
「とろけるようで、いい味ね」と義母。「でも、だからと言って、何個も食べたら、塩分を気にしている意味はないからね」と気づかうのは夫です。
 そう言う本人は、1度に2個3個と食べているくせに...。塩分を気にする人は、梅ぼしのおいしさに用心する必要がありそうです。

私は手作り梅ぼし派

 じつは、私は15年ぐらい前から、自分で、梅ぼしを漬けるようになりました。健菜倶楽部の紀州南高梅とフランス産の天然海塩ノアムーティエの塩を手に入れて、毎年6月から7月にかけては「梅しごと」を楽しんでいます。楽しいだけではなく、梅しごとをしていると言うと、「あなたが!」と友人から驚かれることも多く、ちょっと自慢。
 最初は「塩分11%の減塩梅ぼし作り」に挑戦しました。しかし、カビだらけになり散々な結果。次は、焼酎で梅を洗いつつ13%に挑戦。これも途中でカビを取るのに四苦八苦。そしてついに、ある年から、減塩梅ぼし作りはきっぱりとあきらめ、17%に落ち着きました。
 自分では、年々、腕を上げて、素朴ながら、とてもおいしい梅ぼしができていると自負しています。なにしろ、梅と塩としそという3つの素材のすべてが特別。友人に配ると「すごい! プロみたい」と大喜びされてきました。
 だから私は、自分が漬けた梅ぼしがいちばん好き。毎日のお弁当にも、梅茶漬けにも、イワシの梅ぼし煮にも、心おきなく使っています。
 でも、やはり健菜梅ぼしと比べると、何かもの足りません。夫は、私の手作りより、健菜梅ぼしのほうを好みます。いったいどうしたらあんなにふっくらと仕上がるのでしょうか。塩分控えめでも品質が保てるのはなぜでしょう。そんな数々のなぞを解いて、プロの味に迫ろうと、今年も梅しごとをしています。完成が楽しみです。
(ライター/神尾あんず)



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