「トマトジュースはないの」
夜、帰宅した夫が、冷蔵庫をのぞき込んでいます。夕飯は会議をしながら弁当で済ませたそうですが、満足感がないのか、あるいは野菜が足りないと体が訴えているのでしょう。
「ごめん、切らしている」と 私。「ふ〜ん」と不満そうに言いながら、ミネラルウオーターを取り出した夫は、「こういう時は、トマトジュースがいいのになあ。先週もなかったのに...」とつぶやいています。あきらめが悪いなあ。今は無理なの。
「8月にはヌーボーが出るから、もうちょっと待って」と私。
「そうか、そんな時期か」と、夫も納得したようです。
わが家の場合、「ヌーボー」といったらボジョレーではなく、健菜ジュースの新搾りのこと。トマトやぶどう、にんじんなど、健菜倶楽部のジュースは、決められた生産者の決められた農園のものと限定されている上、その原材料の品質が最も高い「旬」の時期にだけ作ると決まっています。
トマトの場合、健菜ジュースにするのは、特別に栽培しているトマトの中でも10%程度しか穫れない特選品だといいます。
そのトマトが収穫できるのは、1年のうち、1〜2週間程度に限られています。収穫した日にそのまま搾るので、短い旬の期間が終われば、もう健菜トマトジュースは作れません。 ですから、売り切れご免。そのために、ストックを切らしてうっかりしていると、手に入らないことが時々あるのです。
でもそれは、ヌーボーを待つ楽しみにつながっているように思います。
健菜トマトジュースとの付き合いが15年以上になるわが家では、「去年より甘みが尖っている」とか「酸味が...」などと、年ごとに微妙に味わいが違うことが、食卓の話題に上ります。
ちなみに昨年の健菜トマトジュースは秀逸でした。酸味が落ち着いて、味のバランスがよく、さらに時間が経って冬になると、まろやかな旨みが際立ってきました。もともと、びっくりするほどおいしいトマトジュースでしたが、それが年々進化しているようです。今年はどんな味になるのでしょう。
よいトマトが手に入らない時に、健菜トマトジュースを使ってラタトゥイユを作ってみたら、味のよさに病みつきになりました。夏はガスパチョスープもジュースで作ります。ジューサーに頼らず、きゅうりや玉ねぎのみじん切りを混ぜて、冷蔵庫で冷やして完成。暑い時でも食が進みます。
でも、やっぱりこのジュースはそのまま飲むのが一番。ごくごく飲むと、体がきりっとして清々しくなってきます。この原稿を書いていたら、無性にトマトジュースが飲みたくなってきました。早く、販売が再開されますように!
(ライター 神尾あんず)
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