「トマトは野菜か、果物か」という話題が新聞などに時々登場しますが、十数年前、わたしがはじめて健菜のにんじんジュースを飲んだときの感想は、それに近いものでした。
「これが野菜? 果物みたい」
鮮やかなオレンジ色の果汁は、驚くほど甘くていい香り。飲み干した後に口に残る爽やかさが印象的でした。
当時は、まずいことがあたかも体に良いかのごとく宣伝している野菜飲料がたくさんあって、野菜ジュースに味の良さは期待できないと、多くの人が思い込んでいたかもしれません。わたしもそのひとり。でも、それは間違いでした。
「これがにんじん? フルーツジュースね」
はじめての健菜ジュースに、同じ言葉を口にしたのは、闘病・入院中だった友人です。そのジュースは、彼女と以前に交わした会話を思い出して、わたしがお見舞いに持参したものでした。
わたしは子どもの頃はにんじんが苦手で、オブラートに包んだ卸しにんじんを薬のように飲まされた思い出があるのに、彼女は真逆。「カレーはにんじんだけを先に食べた」とも、「生でポリポリ食べると、ウサギみたいでうれしかった」とも話していました。
しかし、闘病中の彼女は咀嚼がままなりません。そこで、野菜そのものの味がするジュースを飲んでもらうことにしたのでした。
「わたしの好物、覚えていたの。おいしい」
ベッドの上で、友人は喜んでくれました。それから、何回か、ジュースを届けたと記憶しています。まろやかな味のジュースは、きっと回復の助けになったことでしょう。
さて、1年間お休みしていた、にんじんジュースの販売が再開されたそうですね。健菜のジュースは1年に1回しか搾らないので、時々「売り切れご免」と言われて残念な思いをします。今回は早々に申し込みました。
ちなみに、にんじん同様にトマトは野菜ですが、植物学的には果物に分類されるそうです。
(神尾あんず)
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