健菜ブルーベリー・コンポート

有閑シニアのお愉しみ

 ホテルのラウンジで、アフタヌーンティー・セットを見かけるようになったのは、この十数年ほどでしょうか。どこも思わず二度見するお値段ですが、ティースタンドに美しく盛り付けられたセットを見かけると、体験してみたいと思わずにいられません。そこである日、夫と見晴らし抜群のラウンジに出かけてみたところ......、分かりました! 決して夫婦でいただくものではありません。あれは2時間は会話が途切れない女友だち限定。それも平日の午後に集まれる人。そうなると私には仲間がいません。イギリス貴族から生まれた社交の習慣は、私の生活には縁遠いものでした。

シニアの特典

「そろそろアフタヌーンティーにしますか」
 じつはこれ、数日前のわが家での会話です。相手は3歳年長の従姉妹。仕事人間だった彼女とはまれに会うだけでしたが、互いに仕事の一線を退いたら、幼い頃の親密さが不思議なほど自然に復活しました。彼女は「ヒマ〜」とやって来て、おしゃべりしたり、各々好きな本を読んだり、ドラマを観たり......。このゆるい空気感は高校時代の友だち同士のよう。
「っていうより、有閑シニアじゃない?」と従姉妹。
 おっしゃるとおりです。そんな2人でゆったり(だらだら?)と楽しむティータイムを、あえてアフタヌーンティーと呼んでいます。その主役は紅茶とスコーン。健菜のブルーベリー・コンポートがあれば言うことありません。
 伝統的スタイルはケーキ、スコーン、サンドウィッチの3種盛りが決まりですが、私たちはスコーンだけで充分満足。
 熱々に温めたスコーンを手で割り、ブルーベリー・コンポートを乗せて食べるのが、大のお気に入りです。コンポートの甘酸っぱい果汁が染みこんだスコーンが、ホロホロと口の中で崩れる感じがなんともいいのです。健菜のものは、ブルーベリーのコロコロとした形が残っていて、果実の食感や風味が秀逸。フレンチのシェフがつくっているだけあって、繊細で、上品です。

3日で完食

 帰り際、従姉妹は「ひとり暮らしには食べ切れないかな」と迷いながらも「コンポートを私にも取り寄せて」とリクエストしていきました。心配いりませんよ。パンだけでなく、ヨーグルトやアイスクリームに合わせていると、アッという間になくなりますから。わが家は、3日でひと瓶なくなります。
(神尾あんず)

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