勝手ながら故郷の味

 健菜倶楽部から、年末年始用のカタログが届きました。「さて」とおいしそうな食品を眺めつつ、まず、「〆張餅」を選ぶのが、わが家の恒例です。餅を送ってくれる田舎の親戚などいない私たちにとって、長年、食べてきた健菜の餅は、故郷の味になっているのかもしれません。会ったことはないけれど、生産者の柔和なお顔もその美しい田んぼも、写真でちゃんと覚えています。

おいしい餅はどこに?

 じつは結婚後しばらく、というか、かなり長い間、私は大晦日に実家に車で行き、正月用の料理を、恥ずかしながらもらってきていました。母、手作りのお節料理だけでなく、餅までちゃっかり......。
 そのため、両親が年老いて甘えられなくなってから、困ったのが「餅をどこから手に入れるか」問題。実家に倣って和菓子店に「のし餅」を注文するほど、たくさんは要らないし、市販品はどれも味がイマイチ。東京で、おいしい餅を買うのってむずかしくありませんか。正月料理の主役は餅なのに。
 というわけで、健菜の餅に出会ってからは、これ一筋。とくに、「〆張餅」の販売が始まってからは、餅が大好きになりました。栽培が難しい幻のもち米を復活させたそうですが、難点は、つい食べ過ぎてしまうことですね。

正月の宴、再開に向けて

 最近の正月は、わが家に弟夫婦、甥姪、その子どもたちが集まります。私の手作りお節料理はともかく毎年、〆張餅は大好評。餅が大好物だという又甥(甥の子)が、2個、3個と食べる様子を見ていると、亡くなった父の姿を思い出さずにいられません。大の餅好きだった父も、〆張餅は「これは旨い」と何個も食べたのではないかしら。
 さて、コロナ禍で今年は諦めた正月の集まりを、新しい年は、再開できるかしら。再開できると信じて、餅は注文するようにします。
  (神尾あんず)

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