2015年の吉川里山百景 (7)

2015年12月

来春の支度

稲刈りを終えた田を乾かさず。
水を張った冬水田んぼ。
その下で、小さな生物たちが冬を越す、
すでに土は耕かされて、
春の田植えを待っている。

よしかわ便り「たなだ」 2015年12月号
来春の支度

冬水田んぼ

2015年11月

田んぼの一息

風にのって響いてくるのは、刈り入れの音、
棚田で働くコンバインは小さくて。
くるくるまわって稲を刈る。
収穫がおわれば、田んぼもひと休み。
冬の訪れを静かに待つばかりだ。

よしかわ便り「たなだ」 2015年11月号
田んぼの一息

秋桜がゆれる棚田

2015年09月

秋の田で完熟を待つ

風がわたると黄熟した稲穂が揺れる。
まるで田全体が揺れ動いているように。
中に立つと、潮騒に似た音に満ちている。
日ごとに稲穂は重みを増す。
色は黄金に輝き始める。
完熟まで、あと 5 日。

よしかわ便り「たなだ」 2015年09月号
秋の田で完熟を待つ

稔りの季きたる

2015年08月

稲の花穂で休む虫

稲は穂に綿のような花をつける
開花は朝。そして
太陽が照りつける頃には籾を閉じる。
いよいよ実りがはじまる。
小さな命の決定的な一日だ。
風にゆれ、花穂で休むバッタには。
実りの気配がわかるのかもしれない。

よしかわ便り「たなだ」 2015年08月号
稲の花穂で休む虫

夏の朝

2015年07月

儚さからたくましさへ

田植え直後の苗は、
水にゆれて儚く見えていた。
けれどたちまち姿を変えていく。
葉が太る。葉が増える。
葉丈も伸びる。
そして、たくましくなる。
一面が緑に覆われて、夏がくる。

よしかわ便り「たなだ」 2015年07月号
儚さからたくましさへ

初夏の棚田

2015年06月

おいしさのみなもと

吉川は水の里だ。
冬の豪雪は、春にとけて川になる。
夏、ブナ林の地下からわき出した名水は
流れくだって田んぼを潤す。
秋、水の旨さをその実に取り込んで、
稲は実る。

よしかわ便り「たなだ」 2015年06月号
おいしさのみなもと

尾神岳にある吉川の源流

2015年05月

夕暮れ映す水鏡

田植えを終え、一日が終わる。
そよそよ揺れる苗は小さくて、
田んぼは空を映す水鏡だ。
今宵から、苗はどんどんのびていく。
一気加勢に葉が増える。
水鏡は瞬く間に、緑に変わる。

よしかわ便り「たなだ」 2015年05月号
夕暮れ映す水鏡

夕暮れのたんぼ

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