2016年の吉川里山百景 (12)

2016年12月

秋を映す水鏡

来春のために、田を耕して水を張る。
冬水田んぼは、水が貴重な山里の知恵。
鏡に映る紅葉は、瞬く間に白銀へと変わっていく。

よしかわ便り「たなだ」 2016年12月号
秋を映す水鏡

冬水たんぼ

2016年11月

米作り、最後の仕上げ

昔は手刈りした稲を、はさにかけて天日に干した。
太陽と風にたのんだ最後の仕上げ。
復活した昔のやり方で、懐かしい味がよみがえる。

よしかわ便り「たなだ」 2016年11月号
米作り、最後の仕上げ

復活したはさがけ

2016年10月

あうんの作業

刈り入れは、働きもののコンバインが頼り。
欠かせないのは、くるくる働く集落の仲間。
かけ声ひとつ要らない。50年を超える付き合いだ。

よしかわ便り「たなだ」 2016年10月号
あうんの作業

棚田の刈り入れ

2016年09月

色づく稲葉

9月、稲葉は草色から黄金色に変わっていく。
葉から抜けた緑は養分となって籾を満たす。
完熟まではあとわずか。 田が黄金色であふれる頃に収穫だ

よしかわ便り「たなだ」 2016年09月号
色づく稲葉

秋の田

2016年08月

つつましく、可憐に

8月、稲は花を開く。
もみが開いて、可憐な白いおしべを伸ばしていく。
開花はわずか2~3時間。そして稲は実を結ぶ。

よしかわ便り「たなだ」 2016年08月号
つつましく、可憐に

稲の花

2016年07月

旅立ちの朝

田んぼの泥の中で冬を越し、
早苗の間で春を過ごしたヤゴは、
朝露に濡れながら、透明の羽を広げる。
さあ、旅立ちだ。夏の空が待っている。

よしかわ便り「たなだ」 2016年07月号
旅立ちの朝

トンボの羽化

2016年06月

夕暮れ映す水鏡

影を伴い、ひっそりと狩りをする青鷺一羽。
田んぼの水は命の宝庫。獲物には事欠くまい。
静寂の中、蕪村の一句を口ずさむ。
「夕風や水青鷺の脛はぎをうつ」

よしかわ便り「たなだ」 2016年06月号
夕暮れ映す水鏡

田植えを待つ棚田

2016年05月

田んぼのドライブテクニック

小さな田んぼには、小さな田植機。
隙間は残さないよ、と、くるくる。
むだな動きもしないさ、と、すいすい。
米作り名人は、名ドライバーでもありました。

よしかわ便り「たなだ」 2016年05月号
田んぼのドライブテクニック

棚田の田植え

2016年04月

越冬の水ぬるむ

春浅い田に現れたのは、越冬の水だ。
稲刈り後の田を干さず、 水を貯めて春に備える古来の農法。
水が温むと生き物がいっせいに目覚める。
今年の米作りが始まるのは間もなくだ。

よしかわ便り「たなだ」 2016年04月号
越冬の水ぬるむ

田起こし前の棚田を見回る

2016年03月

春は土から

春は土から 春はどこからやってくる?
見上げれば光る風きらきら。
山は赤く染まって芽吹きを待つ。
そして足もと。
小さな命が春を喜ぶ。

よしかわ便り「たなだ」 2016年03月号
春は土から

カタクリの群生

2016年02月

ため息一つ

雪の一夜が明けた朝、
「もうこんなに」と屋根の雪を見て、ため息一つ。
今日も雪かきから一日が始まる
「春はまだか」と、また、ため息が出る

よしかわ便り「たなだ」 2016年02月号
ため息一つ

屋根の雪

2016年01月

雪にかくれて

雪の下に道がある。
雪の下に地蔵もかくれている。
雪の下に田んぼもある。
そこには水がうもれている。
たくさんの生き物がいる。
みんな春を待っている。

よしかわ便り「たなだ」 2016年01月号
雪にかくれて

雪におおわれた棚田

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