2022年の吉川里山百景 (12)

2022年12月

春迎えの準備を終えて

収穫後に土を耕し、水をはり、冬を待つ。
春を迎える準備を終えた棚田は、やがて雪に隠れてしまう。
その下で、土壌微生物や昆虫が、命をつないでいく。

春迎えの準備を終えて

暮秋の冬水たんぼ

2022年11月

仕上げを自然に委ねて

昔ながらのやり方は重労働が伴う。
それでも稲を稲架にかけ、乾燥を自然に委ねる。理由は米の味。
太陽と風と霧が仕上げると、米はさらに美味を増す。

仕上げを自然に委ねて

稲架掛け作業

2022年10月

秋の盛り、夏の名残

秋の棚田は黄金色に輝いて、豊穣の季を刻む。
その一角にある菜園では、まだ、夏野菜が実っている。
きゅうり、なす、オクラ......、名残の美味も格別だ。

よしかわ便り「たなだ」 2022年10月号
秋の盛り、夏の名残

棚田と農家の自家菜園

2022年09月

実りの季を待つ棚田

八月を稲葉月と呼ぶのは茶人の粋。
でも、すでに棚田の稲は穂を付け、秋風待ちだ。
一面が黄金に変わる九月の古名の一つは稲刈月。収穫の季だ。

実りの季を待つ棚田

夏から秋へ

2022年08月

風止み宵の楽しみ

「今日は風がないね。ならば......」と宵闇の中へ。
棚田の傍らをめぐり、歩く。
ゆらりゆらりと舞う蛍の光が、野良仕事の疲れを癒やしていく。

風止み宵の楽しみ

2022年07月

「ていねい」の積み重ね

米づくり八十八手。どれ一つおろそかにできない工程だ。
「百姓仕事に終わりはないね」と生産者。
丹念な草刈りも、おいしい米の土台になる。

「ていねい」の積み重ね

田植え直前の草刈り

2022年06月

夕暮れ映す早苗の田

点々と早苗が並ぶ5月の田んぼは叙情的。
空を映す田水は、刻々と色を変えて夕暮れ色に染まる。
稲葉で田水が隠れるまでの、つかの間の美景だ。

よしかわ便り「たなだ」 2022年06月号
 夕暮れ映す早苗の田

水鏡のような棚田

2022年05月

田植えの足跡

小さくて不定形の棚田で働く田植機は、歩行型だ。
ぬかるむ土を踏みながら、人が押していく。
苗の列と並んで残る足跡は、やわらかい土に埋もれていく。


よしかわ便り「たなだ」 2022年05月号
田植えの足跡

棚田の田植え

2022年04月

水田に映る花の影

棚田の傍らに花樹が一本。水面に花影を映す。
木陰は稲作には好ましくないはず。なぜ、ここに?
花を愛でる心が、稲作の知恵に勝ったのだろうか。

よしかわ便り「たなだ」 2022年04月号
水田に映る花の影

田植えを待つ棚田

2022年03月

新緑と残り雪

芽吹きから若葉へ、そして新緑へと変わるブナ林。
春、尾神岳の木々は慌ただしい。
けれど、残雪は長閑なもの。木の根元から消えていく。

よしかわ便り「たなだ」 2022年03月号
新緑と残り雪

尾神岳のおそい春

2022年02月

深雪の始末

除雪車の働きで、毎朝、集落の道は通行可能になる。
道路わきの雪壁は日ごとに高さを増して、家の軒を超えた。
あとの始末は人ではなくて太陽が頼り。春の陽を待つ。


よしかわ便り「たなだ」 2022年02月号
深雪の始末

雪に埋まる山間の集落

2022年01月

冬冬と凍てつく田水

「冬冬」と書いてとんとん。冬の到来を告げる音だという。
やがて、こんこん、しんしんという音とともに
棚田は深雪に覆われ、田水さえが見えなくなる。

よしかわ便り「たなだ」 2022年01月号
冬冬と凍てつく田水

棚田の雪化粧

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