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火の国熊本から、真っ赤なマンゴーが届きます。ねっとり、トロリとした果肉は、一度食べたら忘れられない魅惑の味。昨年6月、そのおいしさを育てる池田守也さん、新生さん親子を訪ねました。

絶品のなめらかさ。至福の時間を約束してくれる。

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山の中腹から有明海を見下ろす。
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ひとつずつ丁寧にネットを掛けて完熟を待つ。
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 熊本県玉名市は、夏目漱石『草枕』の舞台。町を見下ろす丘の上には、モデルとなった温泉旅館がいまもなお文化財として保存されている。
 健菜マンゴーのハウスは、その丘から平野部に降りて1キロほどのところにある。目と真の先には有明海。取材に訪れた6月中旬は、雨こそ降らなかったが湿度は高く、有明海の対岸には雲仙岳が霞んで見えていた。
 南国果実のマンゴーを、九州で栽培するのには理由がある。それは、冬の乾燥がマンゴーにとって重要だからだ。湿度の高い沖縄より、冬に乾燥する九州のほうがよりおいしいく育つ。昨年から健菜では、ブランド先行の宮崎産ではなく、それ以上の品質を実現した熊本意をお届けしている。
 その生産者である池田新生さんは、父・守也さんが14年前に始めたマンゴー栽培を引き継いだ2代目だ。
 ハウスの中は乾燥気味で、上着を脱ぎ捨ててしまいたいくらいの暖かさ。
 「暑くても上着は脱がないほうがいいですよ。かぶれるかもしれませんから」
 ウルシ科のマンゴーは、触ると肌の弱い人はたちまちかぶれてしまう。
 「実は私もウルシアレルギーーなんです。うっかりしてマンゴーの業が顔に触れたことがあるのですが、あくる朝ヒゲを剃ったら、口元がパンパンに腫れました」と新生さん。
 実がつき始めるころには樹勢が抑えられ、かぶれなくなる。それまでは、作業の中心は守也さんが担う。
 収穫のメインは新生さん。6〜7月の間に、約1万個を収穫する。

欲をはらずに最高をめざす

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池田守也さん(左)と池田新生さん。
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ずしりと大玉の、自慢のマンゴーを手に。
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A品は全体の2割。特選はその中のほんの一部。

 一万個と聞くと大量のようだが、その中で、味、色、艶ともに優れたA品は2割程度しかない。B品以下は地元で消費されたり、ジュースなどの加工用にまわされる。
 A品の中でも健菜品質のものとなると、その数はさらに絞られる。ピラミッドのほんの頂点しかないのだ。
 池田さんのマンゴーは1枝に1〜2個しか結実させない。良質の実を残さないと、昧や大きさに影響するため、摘果は真剣勝負だ。
 そうして数を絞り込んだマンゴーは、夏季以外、暖房を焚いたハウスの中で大切に栽培される。原油高の昨今、暖房費はかなりのものだ。
 だから、高級果実のイメージとは裏腹に、それほど収入にはならないと新生さんは語る。
「手を抜いて収穫量を増やしたら、おいしいものはできません。私はきちんと手をかけ、最高のものを作りたい」
 欲をかかず、最高品質を追求する姿勢は守也さんから受け継いだものだ。
 守也さんは14年前、かつて田んぼたった土地をダイナミックに改良して、このハウスを建設した。
 もともとの土の上にシートを張り込み、真っ赤な赤土を運びこんで大きな鉢植えのような状態にした。土中にはパイプを敷き、排水に工夫を施し、乾燥を好むマンゴーにとって、最適な環境を整えたのだ。
 このような大工事が実現できたのは、実は、守也さんが建設業を営んでいたことにもよる。いまは、その会社は新生さんが引き継いでいるが、建設で培った技術や、既成の農業にとらわれない考え方が、マンゴー栽培に生かされている。
 当時、守也さんは、これからの地方のあり方を考え、新しいことに
取り組もうと模索していた。そこでたどり着いだのが農業。マンゴー栽培だった。
 「友人はさくらんぼ栽培を始めたが、気候があわずに失敗。熊本に適した作物を探していたとき、マンゴーに出会いました。あのころ、九州でマンゴー栽培をやっている人間は少なかったとですが、新しいことに挑戦するのもおもしろそうかと思ったでね」と守也さん。
 もともと家が農家だったものの、マンゴーは未知の領域。やるからにはおいしいものをと、徹底して研究した。
 もちろん肥料にもこだわった。良質の肥料に、酒かす、カニ殼、エビ殼などを独白に配合。カニやエビ殼は、真っ赤ないい色を引き出すのにも効果があるのだそうだ。

設備を取り入れ、温度管理

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最適の環境で、ていねいに育て上げたマンゴー。ポトリと落ちるまで完熟を待って、おいしさの頂点へ。

 栽培を続ける上で、守也さんは、暑くなりすぎるのを防ぐために大きな扇風機を設置したり、温度や湿度の記録を携帯電話に知らせてくれる最新の装置を取り入れていった。
 おかけでより繊細に温度管理ができて、マンゴーの品質はさらに向上。
しかし、この設備に頼ってしまったために、失敗も経験した。あるとき、設備の電源が、何者かに落とされるという事件が起こったのだ。
 定期的に携帯に配信されてくる記録が届かないハウスを見回りに行ったときには時すでに遅く、室温は60度にもなり、果樹はぐったりとしていた。そしてその年は、全く実がつかなくなってしまった。
 「機械に頼りすぎてはいけなかったんだね。それからは天気の変化にも気を配り、まめにハウスを見回りして、自分で室温をチェックするようになりましたよ」と守也さん。
 幸いその年は思い切って剪定することで、翌年は復活。以降は、安定した高品質を保ち続けている。

完熟だけの鮮烈な味

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収穫したてのマンゴー。やや若い。
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収穫から5日後の完熟マンゴー。本当の食べごろ。

 「試食用に」と、池田さんはこれも、これも、とたくさんのマンゴーを出してくれた。
 切っているそばから華やかな香りを放ち、一ロ食べると、ねっとりとなめらかな食慾に、あふれんばかりの果汁。濃厚な甘味がたまらない。精度は20度にも達するそうだ。
 「早採りで追熟させても食べられるけれど、うちでは完熟だけをお届けしています。健菜のみなさんには味がよくのった旬に、最高のものを召しあがっていただくつもりです」と新生さん。
 池田さんの完熟マンゴーjは、一度食べたら忘れられない、鮮烈な味だ。
 健菜倶楽部では、フルーツ12ケ月頒布会の果物としてご案内している。今年は6月中句ごろから出荷の予定。ぜひ、一度お試しください。

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健菜の果実

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