健菜誕生物語・青大豆しょうゆ

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柱も梁も天井も、すべてが醤油がしみ込んだような深い茶色。歴史の重さが感じられる。

高田城の城下町、上越高田は、日本一長い雁木通りで知られる豪雪地帯。雁木は雪がふった時の道行きには欠かせない雪よけ屋根で、各々の家が自ら設置して、人々の足もとを守ってきた人情の象徴だ。

そんな人情の町に、健菜音大豆しょうゆの醸造場、町田味噌醤油醸造場はある。雁木通りの一角で町家づくり独特の間口の狭さだが、奥には小さいながらもしっかりとした醸造場が控えている。
入り口に立つと、すでになんともいえない香りが漂ってきていた。この香ばしさの中にふっくらした甘みを感じる香りは、本物の醤油しか出せないものだ。

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社長の町田謙次さん
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ご子息の靖典さん(左)

「かなり香りますでしょう?」と私たちを迎えてくれたのは社長の町田謙次さん。明治8年創業という130年以上の歴史を守る4代目だ。自らも杜氏として、まっすぐに醤油づくりを続けてきた職人でもある。実は、かつて長らく健莱音大豆しょうゆを造ってくれていた蔵は、2004年の新潟県中越地震で全壊し、一時存続が危ぶまれた。その時、少量でも丁寧に、手作りでおいしい醤油を造ってくれる蔵を探し、健菜音大豆しょうゆを引きついでもらったのがこの町田さんの醸造場だ。幸い、以前の醸造場は近代設備に一新して、再スタートできたという。
「古いばかりですけれど...」と言う町田さんに従って蔵に入ると、圧倒的な歴史の重さが感じられる。
隅々にまで醤油の香りが染み渡った木造の蔵は、木の桶、壁や天井、梁にいたるまでが創業当時からのものだそうだ。使い込んで大切にされてきた蔵だとひと目でわかる。


昔ながらの製法は、杜氏の感覚がすべて

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手作業で重いもろみをかき混ぜる。
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仕込んだもろみ
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しっかり色づいて香ばしい香りが漂う

町田さんの醸造場では、大手メーカーの醤油工場のように、金属タンクで完全にコントロールするのではなく、自然にそった、昔ながらのやり方を貫いている。仕込みはじめる時期は春か秋。暑すぎても寒すぎても思うように発酵しないためだ。

大きな鉄釜で大豆を蒸かし、炒った麦とあわせて種麹を混ぜ、ムロにおさめて麹をつくる。それを食塩水と混ぜて桶で仕込み、もろみにする。 桶に入れた直後はもろみも重く、擢をつくのは重労働だが、カビを防いで均等に発酵させるために、二日に一度は撹拝しなくてはならない。それを半年~1年ほど続け、十分に発酵、熟成させる。

「私は、熟成期間は長ければ長いほどいいとは思いません。長くなることで、抜けてしまう風味もありますから」と町田さんは言う。

大豆の蒸し加減、麦の炒り加減、塩加減、熟成期間に至るまで、すべて杜氏の経験と感覚で判断し、豆にあった熟成期間を見極める。そうしてつくられた醤油を「旬」の状態でお客様の手元に届けたいというのが、町田さんの考えだ。


九大豆仕込みの本格醤油に

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原料となる永田農法青大豆

健菜音大豆しょうゆは、丸大豆で仕込んでもらっている。
「市販品の多くは脱脂大豆をつかっていますが、やはり丸大豆の方がおいしいですね。さらりとあっさりしているけれど、口当たりがまろやかで無駄がないおいしさです」と町田さんは言う。
醤油には丸大豆と表記されたものと、そうでないものがある。
丸大豆醤油は文字通り大豆そのままを原料とするが、大豆には脂質が豊富に含まれる。食品成分表によると、一般の黄大豆で脂質の含有率は19パーセント。一部は醸造中に分解され醤油の旨味や香りに変わるが、大部分は油分として浮いてくる。
この油を取る作業は結構な手間がかかる。だから一般には、ヘキサンという薬品であらかじめ脂質を抜いた脱脂大豆が使われるのだ。でも、味、香り、口当たりのどれをとっても、やはり丸大豆には劣ってしまう。
ただ、健菜音大豆の脂質は7パーセントほどと極めて少ない。何か違いがありますか?と伺うと、「脂質が少ない分、仕上がりは普通の丸大豆よりさらっとした感じですが、何より豆自体の甘味がいいですね。旨味も香りもすばらしいですよ」とのこと。健菜音大豆の特徴がよく出た醤油に仕上げてくださっている。


味を深める「蔵グセ」とは

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創業以来、丁寧に補修され守られてきた蔵


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従来の200ml瓶に加え、お得な720ml
サイズもご用意しました

醤油の旨さは、豆がよく醸されて旨味(アミノ酸)が十分引き出せたかどうかで決まる。数ある種麹の中から町田さんが選ぶのは、よく旨味を引き出せる良質の種麹だ。などの道具、壁や天井、梁など、長年使い込まれた蔵のすべてに代々住み着いてきた菌たちが、味に深みを与えるからだ。

蔵全体が生きている。

たとえば蔵を建て替えてしまったら、この味は違うものに変わってしまうのだろう。 「小さな醸造場では、大手メーカーのように大量生産できるわけではありません。私たちの蔵の味を大切に思ってくださる方々に向けて造るのが精一杯です。だからこそ、この蔵で″いつもの味″を守っていきたいのです」と町田さんは語ってくれた。

今期仕込んでいた健菜青大豆しょうゆが絞りあがり、新絞りを皆様にお届けできるようになりました。
香りよく、まろやかで尖った感じがしない上質の醤油。あっさりとして、食材の味を邪魔しないので、万能に活躍できます。
ぜひ旬の味をお試しください。

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