塩むすびを召し上がることがありますか。具材は入れず、海苔もまかず、手にノアムーティエの塩をつけて、健菜米コシヒカリのご飯をにぎっただけの塩むすび。
これが、絶品です。
天然海塩ならではのまろやかなしょっぱさや、にがり成分などが、ご飯の淡白なおいしさに合うのでしょう。この塩の旨みをしみじみと感じます。
塩むすびを作ったのは、夫が塩壺から、この塩をひとつまみ口に入れ、「この塩、うまいなあ」と思わず言ったことがきっかけでした。
塩だけをなめるなんて、塩分を欲しがる動物のようですが、ノアムーティエの塩は、しょっぱいだけの塩ではありません。ちょっとした甘みや、刺激、それに旨みがある...。
「この塩は何?」
そう聞かれて、私は健菜倶楽部がフランスから輸入している天然海塩であることを説明しました。
じつは、それまでも色々な種類の自然塩を試していたのですが、夫が塩の種類を気にしたことは、皆無でした。
ノアムーティエの塩は、すぐに夫が気づくほど、他の塩と違っていたのです。
色は真っ白ではありません。ややくすんでいます。粒子は不揃いで、しっとり...。そして、何よりちゃんと味がありました。
理由は製法にあるそうです。その製法は、美しい大西洋の海水を、塩田に引き入れて、水路を流しながら天日によって、じっくりと凝縮させ、最後は木のへらで職人が結晶をかき集めるというもの。伝統的で、そして驚くほど効率の悪い製塩方法です。しかも、夏期しか製造できないのに、島は曇天の日が多く、凝縮するのに時間がかかります。
しかし、だからこそ、美しい海の自然なミネラルバランスを保つことができ、旨みのある塩ができるのだそうです。
食にこだわりがある人が多い、フランスだから、中世からの名産物である塩の伝統的製法が守られているのでしょう。
ノアムーティエの塩は、お吸い物に使うと、だしの味をまろやかに引きしめてくれるし、サラダに使うと、野菜にからんだときのしょっぱさ加減がほどよいのです。食塩(限りなく純な塩化ナトリウム)と違い、塩分の浸透がゆっくりしているで、漬け物がおいしくできて、失敗することがありません。
じつは、塩加減に神経を使うべきお料理でも、ノアムーティエの塩だと、多少いい加減でも大丈夫。塩がカバーしてくれると感じます。
だから、この塩を使っていると料理の腕が上がったような気がします。
ノアムーティエの塩は、フランスの一流シェフが好んで使うそうですが、理由は「いい加減でも大丈夫」という私とは違うはず。繊細なお料理に欠かせない調味料なのでしょう。
(神尾あんず)
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