「葡萄」という漢字が好きです。エキゾチックだし、「葡萄唐草」という古来の紋様もあり、どこか高貴な雰囲気が漂っているというか...。
だから、健菜のプレミアム葡萄ジュースが発売された時は「漢字のネーミングとは、センスがいい」と思ったもの。味も期待を裏切りませんでした。
先日、「グレープジュースはあるかな」と夫に聞かれ、「ないわ」と答えた私。夫が健菜の葡萄ジュースのことを言っていると気づいたのは、5秒後でした。それなら、ちゃんとありました。
どうやら私は、健菜の葡萄ジュースだけは別物と、他とは区別しているみたい。完全なエコひいきです。
夫がジュースを所望したのは、数年ぶりにわが家に立ち寄った甥の子に振る舞うためでした。幼い頃は、「大人のための特別なジュースよ」と私がもったいぶって出すと目を輝かせていた子です。
でも、高校生になった今、その台詞に効力はありません。そこで「白、赤、どちらを飲む?」と質問。
「白はナイアガラ、赤はカベルネソービニヨンよ」
さらに栽培のこだわりや、搾ってから半年寝かせて澱を沈めるという説明を加えると、彼は「ワインみたいだ」とうれしそう。「ワイン」が高校生を喜ばせるパワーワードだったのでしょう。
後日、『日本の伝統色』という、170余りの色と名前を紹介している本で、「葡萄色」を発見しました。読みは「ぶどういろ」ではなくて「えびいろ」。プレミアム葡萄ジュースより、渋くてやや淡い赤紫です。その葡萄染の衣は『枕草子』の「めでたきもの」に挙げられているといいます。雅な王朝文化と私の推しジュースは無関係なのに、うれしく思えるのはなぜかしら。
とまれ、葡萄ジュースが醸し出す特別な雰囲気と、奥行きのある風味が大好き。わが家の「めでたきもの」です。
(神尾あんず)
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