1年に1回、わが家で、いとこ会を開いています。その時のお持ち帰り用に、自家製梅干しの小瓶を用意してきました。最近は「これが、この家に来る楽しみ」と言ってくれるいとこもいます。
15年ぐらい前に、「健菜から届くなら、手作りしてみよう」と思い立ち、それが楽しくて恒例に。「我ながら、おいしい!」と思えるようになって、手前味噌ならぬ手前梅干しは、出番がぐんと増えました。朝食、お弁当、そして親しい人へのお裾分け。差し上げた相手からは、「あなたって梅仕事をする人だったの?」と驚かれます。その時のわたしは、口では「まだまだ未熟で...」と謙遜しつつも、表情はかなり自慢げなはず。
寄付金集めのバザーに出品する時は、容器のラベルに「紀州南高梅、フランス産天然海塩、世田谷の太陽で作りました」と一筆。売れ行きは上々で、気をよくしています。
梅干し作りはむずかしくありません。でも、わたしは最初の2回だけ、お粗末な失敗をしています。その原因は、レシピを勝手に変えたこと。「減塩がいい!」という強烈な思い込みがあり、塩の分量を適当に減らしたり、梅を焼酎で洗わなかったりで、カビを自分で招き入れました。
原因は道具にもありました。あり合わせの道具で済まそうとした結果、塩漬けの重しが軽すぎたり、安定しなかったり...。これでは、成功するはずがありません。
3年目は作る量を減らし、道具を揃え、忠実にレシピを再現してみたら、何の問題もなく大成功。失敗したことが不思議なほどでした。
それからはレシピ重視。ただし、ほどなく自分なりのアレンジを始めました。塩分は当初の20%から、毎年、1%ずつ減らし、16%に落ちつきました。健菜から届くのは、高品質な完熟梅なので、重しは重すぎないほうが、果肉の良さが生きると知り、次第に軽くしつつあります。味は昔から申し分ありませんが、見た目も市販の高級梅干しにだんだんと近づき、ふっくらとしてきました。
梅仕事、少しずつ、上達していると思います。
今年もそろそろ梅仕事の季節です。健菜から届いた箱を開けると、梅の甘酸っぱい香りがふわりと広がります。青梅ではなく、鮮やかな紅が差しているあんず色。光を浴びると産毛がきらきら光ります。
見ていると、とても、おいしそうです。じつは「これなら、そのまま食べられそう!」と、生で囓ってみたことがあるのですが、やっぱり、すごく酸っぱかった。
梅をおいしくいただくには、仕事が必要です。
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