健菜純米吟醸酒 「雪麗」の酒粕

上戸がよろこぶ甘酒に

 今、少しやきもきしています。健菜倶楽部の「雪麗」の酒粕が入手できるのは、酒の初絞り以後と決まっていて、それは3月上旬のはず。それが、茶道のお稽古日に間に合うかどうか...。
 じつは3月最初のお稽古は、茶室のしつらえや道具が雛祭りにちなんだものになり、席入りの前に甘酒を頂くのが社中の習わしです。だから先生が用意して下さる甘酒を 年以上も頂いてきましたが、本音はその味が苦手。飲みきるのがやっとでした。そこで今年は健菜の酒粕を先生に進呈して、おいしい甘酒をつくって頂こうと思っているのです。
 ところがすでに冷凍庫のストックはなく、目下、新酒ならぬ新酒粕を今か今かと待っています。


上戸が教えてくれた価値

 酒粕ストックが1年もたなかったのは、味噌汁、粕汁、シチュー、粕漬けにと、調味料として大活躍してもらったからに他なりません。2年前まではほとんど使わなかったのに、健菜の酒粕を試してみたら、ほかの板粕ほど硬くなく使いやすい上、「さすが発酵食品の力」と思える独特のうまみが料理に加わり、酒粕料理が病みつきになりました。

 それに、「酒粕にちょっとうるさい」という友人に「これを試してみて」とお裾分けしたことも、ストック切れの理由です。
 彼女は旅先で、必ず酒蔵を訪ねるという日本酒好き。それが運良く有名な酒蔵で、吟醸酒の酒粕に遭遇して以来、良質な酒粕の価値を発見したのだそうです。しかし、新酒を絞り終えたタイミングにしか出回らない"本物"の酒粕は、引き取り先が決まっていることも多く、「手に入るとお酒以上にうれしい」とすら言っていました。
 そんな彼女から送られてきたお裾分けへのお礼メールには、「いいですね! 芳醇! 香りが華やかで上戸が喜ぶ甘酒、できました」とありました。
 甘酒は下戸や子供のための飲み物だと思っていましたが、酒好きも喜ぶ味があるのです。
 彼女のメールには「酒をギュッとしぼっていないので酵母が豊富。成分が濃くてうまみがたっぷり」とも書かれていました。
 そもそも「雪麗」は、昔から頸城杜氏を輩出してきた米処・吉川(新潟県上越市)で、永田農法の酒米・山田錦を栽培して、つくられる吟醸酒です。酒米そのものの品質が高いので、米粒の芯だけ使う大吟醸ではなく、あえて、米のうまみを活かした吟醸酒にしていることなどを、彼女に伝えると、「納得」と返信があり、そして「新酒粕ができたら、絶対に教えること」とありました。
 彼女も、私同様に新酒粕ができるのを待っていることでしょう。


雪の酒蔵に思いを馳せて

 今ごろは、豪雪に覆われた吉川の酒蔵で、寒に仕込まれた雪麗の発酵が静かに進んでいるはず。酵母が活発に働いて、醪がプチプチと音を立てているかもしれません。
 雪麗の新酒も新酒粕も楽しみです。そして、酒粕到着が、どうか、お茶のお稽古日に間に合いますように。
(ライター・神尾あんず)

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