黄金もち&青大豆きな粉

安倍川餅の誘惑

 年末は田舎から送られてくるお餅が待ち遠しい...。そんな気持ちを味わわせてくれたのは、弟が米処出身の女性と結婚したおかげでした。彼女のお母さんが送ってくれるお餅は、凸凹で分厚くて、1個で、ご飯を2膳は食べたほどの満足感。それなのに、2個も3個も食べたくなるのです。
 義妹からのお裾分け(と言うにはずいぶん沢山!)のおかげで、わが家は、お餅を堪能してきました。
 そのお母さんが高齢になり、米作りも餅作りも止めたときは、淋しかったものです。
 そして、困りました。東京で買えるお餅は「なんだか、ちょっと」というものばかり。
 だから「健菜にもお餅がある」と知った時は、ホッとしました。期待を裏切らないことでしょう。

餅は米と水次第

 いろいろなお餅を試している時に思ったのは、お餅はつまるところ、「もち米と水だ」ということ。
 義妹のお母さんは、年に1度、娘と孫に送るために、山裾の田んぼで、もち米を育てていたのです。酒処でもある実家の水がおいしいことは、妹からよく聞かされていました。あのお餅がおいしいのも道理です。

 ところが、米の質と水を心に留めて探してみると、水やもち米の品質どころか、品種さえ不明な物が多く、選びようがありません。
 それが、健菜のおかげで悩む必要がなくなりました。もち米は黄金もちという品種。水に恵まれた吉川の美しい棚田育ちと、はっきりしています。そしておいしい。
 ふっくらとしてのびがよく、雑味がなく、甘い香りがします。
 田舎から送られたお餅とは、趣きが違うけれど、「善いものを食べている」と感じられるのは同じです。
 

危険な冬

 ところで、私は安倍川餅が大好き。お餅を焼いたら1個はお醤油、1個は安倍川餅です。お雑煮のときも、1個は別に安倍川餅でいただきます。
 よいお餅があるのだから、「きな粉もよいものを」と迷わず健菜の青大豆きな粉を使っています。

 じつは当初、原料が青大豆なので、鴬きな粉だと思い込み、敬遠していました。美しい鴬きな粉は、和菓子には向くけれど、香ばしさが足りず、安倍川餅には物足りません。
 でも、健菜のきな粉は、鴬色ではありませんでした。
 後でわかったのですが、香ばしさを引き出すために、しっかりと豆を煎っているのだそうです。その見た目は、色が淡く上品。つんつんと鼻をくすぐるほど香ばしくて、味は上品というより、甘味や旨みなど、しっかり主張があるので、混ぜるお砂糖の量が減るように思います。甘味をはっきりさせるために、普通はひと摘まみ加える塩も、このきな粉は要りません。
 とはいえ、封を切ると香ばしさが日に日に薄れてしまいます。それを言い訳にして、私は、朝食に安倍川餅をいただくことも...。おいしいお餅ときな粉が常備されている冬。ダイエットが気になる身には危険な季節です。
(神尾あんず)



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