以前は、柚こしょうの瓶を開封すると、最初に半分を冷凍していました。使い切るのに時間がかかるので風味を守るためでしたが、最近は使う頻度が増えてきて、その必要がなくなりました。
特に夏は、ぴりりとした硬質の辛さと風味が好もしくて、いろいろな料理に合わせます。ざるうどん、そうめんのつけだれにはわさび感覚。冷ややっこや冷しゃぶのたれにも加えます。酒で溶いて、焼き物や炒め物に利用したり、ドレッシングやマヨネーズに加えることもあります。
「刺身には絶対わさび。柚こしょうは刺激が強すぎる」と宣言していた夫も、「夏はこれもいいか」とときどき宗旨替えしています。
最初は、耳かき程度から始めて、だんだん好みの塩梅が分かってきました。がつん!とパンチが効いた味がほしいときは、思い切って使います。いかようにも使えて、「これは味が合わない。失敗だ」ということがない、面白い調味料だと思います。
はじめて柚こしょうを見たのは、25年ぐらい前、大分の田舎で寄ったうどん屋さんでした。卓上にあった壷の中味が分からず、お店の人に、柚と青唐辛子を潰して混ぜたものであることや、庭の柚で手作りすること、唐辛子を「こしょう」と呼ぶことなどを教えてもらったのです。その風味がとても気に入りました。
そこで、東京で入手しようとしたのですが、当時は、これがむずかしく、探し当てたのは、築地の場外市場にある食材店でした。でも、残念ながら、その瓶詰めは辛いだけで柚らしさがどこにもなく、がっかり。
その記憶があるので、健菜倶楽部の柚こしょうについても、売り出した当初は半信半疑でした。
でも、試してみて、「辛いだけじゃなく、旨みも香りもいい」と意見を修正。後から、原料の柚と唐辛子は、健菜玉緑茶生産者の太田重喜さんが永田農法で栽培していると知りました。同じ瓶詰めでも、原料や製法によって大きな違いがあるのですね。納得しました。
ところで、先日、割烹料理店で、驚いたことがあります。隣に上品な外国人客がいて、「コレハナンデスカ」とカウンター越しに板前さんに質問していました。板前さんの「柚こしょうです」という声を耳して、「ソレハナンデスカ」と小声でつぶやいたのは、外国人ではなく、わたしたちの連れ。柚こしょうを知らない日本人もいるのですね。
「和食ブームのおかげで、世界中にわさび好きが増えているけれど、次に来るのは、柚こしょうよ」と、彼には言っておきました。(神尾あんず)
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