健菜通信:今月の特集

北の夏、ていねい作りの野菜たち / 北海道士別市・岡田農園を訪ねる

2013年05月27日
夏の健菜トマトは、北海道の生産者に支えられています。中でも特選級のマルトマトを届けてくれるのが士別市の岡田農園。頒布会でも人気です。その他、にんにく、かぼちゃもご紹介します。

 北海道士別市。中心街から車を走らせ、天塩川を遡って20キロ西へ。水源がある天塩岳の麓までくると、ようやく岡田正悟さんの畑にたどり着きます。辺りを見回せば、民家は岡田家のみ。ほかには、山と、森と、畑だけ。取材チームが訪れた7月は、ちょうどトマトの収穫最盛期でした。
「おひさしぶりです!」
 収穫の手を止め、迎えてくれたのは息子の直弘さん。父正悟さんの後を継ぐべく、数年前から野菜作りに励む若き生産者です。

 数ある健菜トマトの中で、岡田農園のマルトマトは高糖度なのに後味あっさり。ゼリーがたっぷり詰まっていて、夏にピッタリの食味です。水はけのよい砂壌土で栽培することで、雑味のない味になるのだとか。
 「ここは本当にいい土地ですよ。ある程度なら、誰でもおいしいものが作れるでしょう。そこに私たちは手をかける。他と比べて、本当にていねいに作っていると思います」
 健菜倶楽部設立当初からお付き合いがある岡田農園。かぼちゃなどに続いて、トマトを始めたのは15年ほど前のこと。年々磨きがかかるそのおいしさは、細部まで行き届いた栽培の賜物です。

「たとえば整地。ふつうなら1日で済むところを2、3日かけて厳密に土をならし、ハウスの中で差がでないようにする。これは父のこだわりです。

手をかければ、必ず作物は応えてくれる。
いち生産者として、父は偉大だなと思いますよ」と直弘さん。
「意見が食い違ってけんかになることもありますけど」と続け、笑います。

人との出会いが財産に

 父正悟さんは永田農法を古くから実践し、永田照喜治氏とも旧知の仲。そんな縁から直弘さんは、実家で農業にたずさわる前は、同農法の研究員として各地の名人を訪ね歩いた経験があります。だから永田農法での野菜作りには、一方ならない思い入れがあって...。
「いろいろな方との出会いで、いい経験ができました。それが私の財産です。いまでも栽培の相談にのってもらうことがあるんですよ」
 父に学ぶだけでなく、自分で会得したことを試してみたい。そんな思いは正悟さんも理解しているようで、「トマトだけは私を超えたかな?」と評価してくれています。
「でも実際やってみると、思うようにいかないこともあって...」
 ここ2年ほど、ひどい干ばつに見まわれている士別。水を極限まで絞る永田農法ですが、それにも限度があります。直弘さんが苦戦したのは、味でなく、収穫量の面でした。
「味はよかったのに、水不足のせいで収穫量が4割も減ってしまい、自分の甘さを痛感しました」
 失敗を糧に、今は適度な水やりを心がけ、味を守りつつ、きちんと収穫できるようにしているとのこと。今年のトマトはご期待ください。

ホクホクの美味、高糖度にんにく

 「こちらもどうぞ」と案内されたのは、乾燥中のにんにくハウス。送風機にかけられ、ふんわりとよい香りを漂わせます。
 「大粒の『白玉王』という品種ですが、うちのは小さくてゴツゴツしているし、真っ白じゃありません。でも糖度は40度にもなるんですよ」

 一般的な規格では色も見栄えも悪いとされてしまいますが、健菜でなにより大事なのは味。国産の最高品質でも糖度は30〜35度だといいますから、食べれば違いはわかっていただけるはず...。
「香辛料としてだけでなく、野菜としても食べていただきたい。ホイル焼きにするとホクホクして蜜が上がって、本当においしいですよ」

冬至においしい大雪かぼちゃ

 ハウスを出て遠くに目をやると、のびのびとした空の下、どこまでもかぼちゃ畑が広がっています。
「見える限りうちの畑です。『大雪(雪化粧)』という品種で、面積の割に収穫量は少ないのですが...」
 一般に1株から2〜3個収穫するところ、健菜かぼちゃは1株1果穫り。数を絞り、栄養を凝縮させます。
「9月に収穫し、温度管理をしながら11月まで貯蔵します。冬至においしいかぼちゃなんですよ」
 収穫期でない冬、店頭には外国産のものばかりが並びますが、貯蔵性のよい大雪は、冬までおいしく、甘味があって、バランスのとれたホクホク感とねっとり感を楽しめます。
「健菜かぼちゃは小さくても十分味がよいですが、一般には大きいほうが美味とされています。でも家庭では使い切れないので『規格外』とされ、捨てられることもあるんです」
 

私たち日本人は、便利さや見栄えにこだわりすぎて、本当においしいものを捨ててしまっていると直弘さんは言います。将来的に安全でおいしいものを食べ続けるには、少しでも無駄をなくす必要があるでしょう。選ぶ側の意識も、変わらなくてはならない時代が来ているのかもしれません。
 健菜では日本の食のあるべき姿を探しながら、規格にとらわれず、高品質でおいしいものをお届けし、皆様の食卓を支えていけるように努力していきます。

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