健菜通信:今月の特集

ホクホク旨い。 仲間と守るセレベスの味

2014年11月02日
鹿児島県出水市は、今年もそろそろツルの飛来シーズン。それに先駆け、絶品里いも、セレベスの収穫が始まっています。

 みなさまがイメージする里いもはどんな食感ですか。ねっとり? それともホクホク...?
 里いもは、栽培する土地や品種によって味や食感に個性が出るもの。健菜倶楽部が今回注目するのは、遠竹博樹さんが栽培する里いも「セレベス」。ホクホクで甘みがあり、アクのない味わいがさまざまな料理に向いていて、すっかり健菜の定番となっている逸品です。

ベテランと若手の力で

 鹿児島県出水市は、10月半ばから3月にかけて、毎年1万羽ものツルが飛来する自然豊かな地。生産者の遠竹さんは、ここで、地元のベテラン生産者たちとタッグを組んで、さまざまな品目を栽培しています。
 その軸となっているのが、セレベスです。
「9月中旬から収穫を始めています。今日は安楽さんの畑かな」
 この日、セレベスを収穫していたのは、名人・安楽英夫さん。御年79歳の大ベテランは優れた栽培技術と豊富な経験から、生産者の間でも一目置かれる存在です。

「春に手術したばかりだから、がんばり過ぎちゃいけないと言っているのに、毎日のように畑にいる。さすが昔の人は根性がちがう」と遠竹さん。「見習わなくちゃいけませんね」と言葉を続けた。
 当の安楽さんの農園を訪ねると、本人は「そろそろ限界かね〜」と笑いながら、涼しい顔でトラクターを動かしていました。
 もともとセレベスは30年前、遠竹さんのお父さんの幹夫さんが取り入れた品種です。
 黒ボクで水はけのよい土壌のこの地では、肉質がきめ細かく、濃厚な味のものができるとあって、あっという間に高級食材に。当時は箱の中にきちんと並べられ、高値で取引されたと言います。
「そんな時代があったけれど、今では価格も下がり、生産者も高齢化して、ほとんど作られなくなってしまった。でも、この味はなくしちゃいけない。だから農業法人を立ち上げて、みんなで協力して守っているんです」
 法人化して今年で4年。遠竹さんのもとにはベテランに加え、若手も集まり、昔とかわらぬ味を守り続けています。

仲間との連携が支え

「セレベスは、ふつうの作物の3倍はミネラル分が必要なんですよ。こまめに追肥しなくてはならないから、結構手間もかかります」
 しかもそれだけ栄養をやっても、収穫量はほかの里いもの3分の1ほど...。
 またミネラルを吸い尽くされた畑は疲弊するので、翌年から堆肥を入れるなどして土壌改良し、別の品目を作って休ませなくてはなりません。
 何とも非効率な作物です。
 安定して作り続けるには、広い土地で順繰りにまわしていかなくてはならず、それにも人手が必要。それゆえ仲間達との連携が大きな支えになっています。

「高齢の生産者たちの経験と、若手のパワーを合わせて農業をしています。ベテランの技術を次世代につなげて、地域に貢献したいという気持ちもあるんです」と遠竹さん。
 そんな父の背中を見て、中学生の息子さんも農業を継ぎたいと言ってくれているのだとか。なおさら妥協はできません。
 収穫後は2日寝かせて、ひとつずつ手で土を払い、セレベスのチャームポイントである赤い芽をさっと拭って出荷の準備です。
 そんなセレベスのおすすめの食べ方は||?
「私はおでんが一番好きですね。おでん屋さんでセレベスを見つけると、『お、この店こだわってるな』と思います(笑)。煮しめにも最高ですよ」
 味しみもよく、秋から冬にかけての温かい料理にはもってこいの食材です。

ほかにも仕事は山積み

 セレベスの合間に作る作物のひとつ、ジャンボいんげんもちょうど収穫期を迎えていました。
「こだわりのポイントは若穫り。ふつうは大きさを重視して日数を置いてしまい、固くて食感が悪いものが多いですから」
 ほかにもにんじんの植え付けなど、仕事は山積み。忙しい日々に追われています。

 セレベスのお届けは春先までとなる予定です。旬の味を、存分にお楽しみください。


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