「1日350グラム」。これは、厚労省が推奨している1日当たりの野菜摂取量の目標値です。けれど目標値に達しているのは、国民の3分の1程度。皆様はいかがですか。じつは、十分に食べているつもりでも、肝心の栄養素を取り込めていなかったり、加齢により栄養吸収率が低下することが指摘されています。そこで、注目されている栄養素を焦点に、得になる知識を紹介します。
なすは90%が水分で栄養価が少ないとされてきたが、それが見直されている。ポイントは皮に含まれる「ナスニン」だ。アントシアニンの一種であるナスニンは、抗酸化作用があり、老化防止や抗ガン効果、それにブルーベリー同様に眼精疲労を回復する効果も期待できる。
アク抜きはNG水にさらしているとナスニンだけでなく、カリウムなども流失する。切ったらすぐに調理すれば、アクは気にならない。
皮はむかない!ガクも食べる紫色の皮に栄養がある。一方、ガクは旨みが詰まっている。トゲのある先端だけ切りとり、使おう。
食べ方のコツ 水に溶け出しやすいナスニンは、スープや味噌汁など、汁ごと食べるとよい。皮をむいた場合は、ガクといっしょに炒めてきんぴらなどで。
ビタミンCがレモン果汁の2倍近くと豊富。それにふつうは加熱すると壊れてしまうビタミンCが、ピーマンの場合は壊れない。繊維組織がしっかりしているからだ。さらに独特の香り成分「ピラジン」には血液サラサラ効果あり。こんな野菜、他にない。
たて切り繊維に沿ってたて切りにすると、細胞を壊さず、 シャキシャキした食感になる。横切りや輪切りはやわらかくなるが、栄養素が抜けやすい。
わたこそ大切ピラジンはわたの部分に含まれている。「苦い」と捨てずに、わたも食べることを習慣に。はしりの時期は種ごとがよい。
食べ方のコツ
半割り、あるいは丸ごと、フライパンで炒め焼きに。少量の水を加えて蓋をする。油と合わせるとビタミンAやβ-カロテンなど、他の栄養素の吸収率も高まる。
トマトは健康野菜の王様だ。ビタミン類の他、クエン酸、グルタミン酸、ルチン、ピラジン、リコピンなど、健康効果がある成分がたっぷり。中でも、赤い色素成分である「リコピン」は、パワーの高い抗酸化作用があることで大注目。ガンや動脈硬化の予防効果が期待できるとわかっている。
赤がマスト、朝ガベストピンク色より赤く完熟した方が栄養価は圧倒的に高い。その代表であるリコピンは、体内に吸収される量が、時間帯によって違うことが、ジュースによる調査研究でわかった。最も高いのは朝だ。
切れるナイフですっぱり皮と種を包んでいるゼリー部分に栄養も旨みも詰まっている。果汁を逃がさないように切れ味の良いナイフでカット。
食べ方のヒント
リコピンは油に溶けると吸収率が3〜4倍に上がり、旨みもアップする。皮付きのままオリーブ油で炒めて調理。
ツンとくる匂いは「アリシン」によるもの。硫化アリルの一種で、にんにくにも多い香り成分だ。その作用によって、疲労、ストレス、不眠などの症状に効果をもつ。さらに、血液サラサラ効果、肥満や老化防止に役立つポリフェノールの一種「ケルセチン」も無駄にできない。
空気にさらして生でがぶり水にさらして辛み抜きをすると、アリシンは失われる。カット後に空気に20分、さらせば辛みは飛ぶ。
はがす皮は1枚だけにケルセチンをはじめ、カリウムなどの栄養素は外皮部分に多い。外皮をむいたら、残りは多少茶色くても料理に使う。
食べ方のヒント生ですりおろしたり、みじん切りにするとアリシンが活性化する。スープなどに使うときは、まず炒めること。油がコーティングして、流失を防げる。
有害成分のシュウ酸が少ない健菜ほうれん草は、栄養素が流失してしまう茹でこぼしは不要。加熱したい時はレンチンでOK。軸ごと短時間で炒め蒸しすると栄養損が少ない。
β-カロテンは外皮の下にもっとも含まれる。皮ごと輪切りにしたら2〜3分放置。そして油で炒めるとβ-カロテンが増え、さらに吸収率もアップする。
キャベジン(ビタミンU)は芯と内側の葉ほど多い。ビタミンCが多いのは外葉と芯葉。芯も外葉もスープで煮込むと栄養の損失は最小限になる。
参考データ&文献『新・野菜の便利帳 健康編』(高橋書店)/『栄養「こつ」の科学』(柴田書店)/『その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)/『その調理、まだまだ9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)/『野菜の栄養素 まるごと便利帖』(エクスナレッジ)/カゴメ・ニュースリリースhttps://www.kagome.co.jp/library/company/news/2016/img/2016080277777.pdf
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