日本の「国菌」と呼ばれる「麹菌」。その麹菌を米や麦で繁殖させた「麹」は、不思議な力を秘めています。まず、料理をおいしくする力。これは、微生物(麹菌)が発酵する過程で多様な酵素を生み出してくれるおかげです。タンパク質を分解して旨み成分に、あるいはでんぷんを分解して甘み成分を引き出し、さらに食材をやわらかくしたり......。和食のおいしさの土台となっている味噌、醤油、みりん、そして酢も麹がなくては作れません。
健康を高める力も注目されています。美肌効果や抗酸化作用など色々ありますが、健康のカギであると分かってきた腸内細菌の環境を整える点は特筆もの。
そんな麹の力を、もっと生かしてみませんか。おすすめは、1日お猪口1杯の自家製「甘酒」です。
甘酒は「飲む点滴」と言われるほど、疲労回復に役立つ飲み物です。じつは、「甘酒」は夏の季語。江戸時代には、甘酒売りが夏バテの特効薬として売り歩いたそうです。実際、甘酒にはブドウ糖が多く含まれ、その他のビタミン類も豊富。体力回復に速効性もあるのです。
ところで甘酒には酒粕と砂糖で作るものもありますが、これは別物。麹で作る甘酒はアルコール分ゼロ。麹菌が活発に働いています。
また、市販の甘酒は麹の発酵を止めるために火入れしていますが、手作りなら菌を生きたまま摂ることができます。
健菜麹は、頸城杜氏の故郷であり、健菜米の生産地である上越市吉川区からお届けします。原料は、酒米の「五百万石」。贅沢な選択です。杜氏だった祖父・父の技を引き継いでいる山本秀一さんが力のある麹を醸しています。
この紙面で紹介した「甘酒」の製法は杜氏一家伝来のもの。スッキリした甘さに仕上がります。ぜひ、お試しください。
杜氏の故郷、伝統の甘酒の材料は生麹と水だけ。ヨーグルトメーカーを使って発酵させると簡単です。
温度管理に注意すれば、炊飯器でもできます。
〈注意〉麹菌が活動を止めてしまうので、温度は65度を超えないこと。
- 生麹に、55〜60度に温めたお湯を加えて、よく混ぜる。
- 約8時間、お湯の温度を保ち、生麹がやわらかくなったら出来上がり。
- ヨーグルトメーカーの場合(お勧め)... 専用容器に移し、55〜60度・8時間に設定
- 炊飯器の場合... 内釜に移して、保温モードにセット。保温モードは70度前後に達するので、箸などを挟んで蓋を開けたままにする。時々、温度をチェック
冷たいドリンクもいいけれど、ホットで飲むと身体がポカポカしてきます。
甘味がある調味料としても優秀。使い方はアイデア次第で広がります。
小松菜の甘酒お浸し
小松菜は茹でてから冷まし、水切りをしておく。甘酒、醤油、すり胡麻を混ぜ、小松菜を和える。
- 小松菜:1束
- 甘酒:大さじ1-2
- 醤油:小さじ2
- すり胡麻:大さじ1
チーズディップ甘酒味
室温でやわらかくしたクリームチーズに甘酒を加えて、クリーム状になるまで混ぜる。好みでナッツやドライフルーツをトッピングする。
- クリームチーズ:60g
- 甘酒:大さじ1
生姜甘酒
すべての材料を一緒にミキサーなどで攪拌してから、鍋で加熱。好みで塩を加える。
- 甘酒:75cc
- 水:75cc
- おろし生姜:小さじ1/2
- 塩:ひとつまみ
ぶどう甘酒
すべての材料を一緒にミキサーなどで攪拌する。
- 甘酒:50cc
- 健菜プレミアム葡萄ジュース(カベルネソービニヨン):100cc
- 氷水:50cc
『こうじ菌』北垣浩志監修・農文協/『麹のふしぎな料理力』前橋健二他著・東京農大出版会/『麹のレシピ』おのみさ著・池田書店/『甘酒のレシピ』堀澤宏之著・池田書店
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