健菜玉緑茶は、茶葉栽培発祥の地である佐賀県嬉野市の山間で生産されている。生産者は太田重喜さん、裕介さん親子だ。茶畑は、人里離れた標高550メートルの山頂部から低地にかけて点在。豊かな自然と寒暖差に恵まれた清涼な栽培適地だ。
茶樹は43年前から永田農法で栽培されている。じつは重喜さんは、かつて、農薬中毒にたびたび見舞われた。そこで「健康を害するようなお茶で良いわけがない」と無農薬栽培を決意。しかし、昔も今も茶葉の栽培には年間10〜20回の農薬が使われるのが普通だ。当時は誰からも「無理だ」と言われたが、(故)永田照喜治氏との出会いによって、無農薬栽培が可能になったのだという。農薬を止めるだけでなく、健やかな環境でたくましい茶樹を栽培することが永田農法の要だ。肥料は最小限にとどめ、食味を高める微生物やミネラル資材を使う。その茶葉は他より緑色が薄くて、お茶独特の苦みだけでなく、甘み・旨みが豊かに育つ。
全幅の安心・安全と、飛びきりのおいしさが健菜玉緑茶の両輪だ。
バランスのよい風味は、茶葉のブレンドから生まれる。多くの場合、ブレンドは「合組」と呼ばれる職人技の茶師が活躍する分業制だ。しかし、健菜玉緑茶の合組は、生産者である重喜さんが担ってきた。
現在、農園では11もの品種を栽培しているが、その個性はさまざまだ。例えば、茶葉コンテストでの受賞歴も多い「さえみどり」は旨み成分が高く、「ふじかおり」は甘い香りを放つ。濃厚な香りをもつ「さやまかおり」、すっきりした甘さをもつ「つゆひかり」、野生味がある在来種......。子どもの頃から茶に親しみ、熱心に栽培と製茶方法を研究してきた重喜さんは、ブレンドについても妥協をしない。そして、その心意気と技は息子の裕介さんに引き継がれている。
太田茶園では、季節によってブレンドを微妙に調整しながら、1年を通じて、独特のおいしさを編み出していく。とはいえ、新茶のおいしさは別格だ。香りは若々しい。そのうまさは、清々しく、また初々しくもある。ぜひ、今年の新茶を楽しんでいただきたいと思います。
太田重喜さん直伝、いちばんおいしい玉緑茶の淹れ方
いちだんと味を楽しむポイントは、お湯の温度と蒸し時間にあります。
- 茶葉は1人6g
目安は小さじ1杯- 適温は70℃
沸騰させたお湯を 湯飲みで冷ます。- 蒸し時間は2分
急須にお湯を注いだら蓋ピチリ- 最後の1滴に旨みが凝縮
必ず丁寧に注ぎ切る- 2煎目のために蓋を少し開けておく
2煎目の適温は80〜90℃と高めに
令和3年産の新茶が入荷しました。天然の健康飲料?成分と効果に注目
お茶には健康を高める成分が多く含まれています。どんな効果が期待できるのでしょうか。
- カテキンで細菌をブロック
カテキンは、苦みの素であるタンニンの一種。日本茶に多い。抗菌効果や抗酸化作用があり、ガンの抑制や生活習慣病の予防に役立つとされる。- テアニンでリラックス
お茶には旨み成分のアミノ酸が何種類も含まれているが、その主成分であるテアニンは、摂取すると脳にアルファー波が出現し、リラックスやストレス軽減効果がある。- 豊富なビタミンで老化防止
お茶はビタミンA、C、Eが豊富。美肌効果や老化防止、抗酸化作用がある。野菜や果実に含まれるビタミンCは熱に弱いが、お茶の場合は熱に強く、温かくても効果を発揮する。
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