野菜図鑑

トマト

野菜はここまでおいしくなる!

トマト
ナス科トマト属。九種類発見されているトマトの野生種のうち、八種類は南米アンデス産地西側の乾燥地に自生している。トマトの遠い祖先はもともと標高二千メートルの乾燥した荒れ地に育つ高山植物だった。

トマトは永田農法を代表する野菜。一流の料亭が、何も調理せずに料理の一品として供したり、コミックの「美味しんぼ」でも紹介されて、永田農法の名を有名にしました。そして実際にこのトマトはいろいろな常識を覆してきました。たとえば、「トマトは夏が旬!」という常識。

しかし、永田農法のトマトは二月がいちばん美味しいものもあれば、四月に甘みが最高になるものもあります。南北に細長い日本では、生産地によって、旬の時期がずれてきます。栽培地の高度によっても旬は異なります。「トマトは夏」という古い常識より「栽培地やその方法によって旬は違う」という方が、理にかなっているのです。

見栄えや収穫量よりも、おいしさを追及

永田農法で作ると、トマトは糖度が飛躍的に高くなります。ふつうは糖度が4から5度程度ですが、永田農法では8度以上が基本で、特選クラスになると12度にもなります。そして生産者が作物の糖度をチェックすること自体が、以前の常識にはないことでした。

野菜づくりが、収穫量の見栄えのよさ、あるいは安全性ばかりと追求してきた点を考えると、糖度を一つの指標にして「もっとおいしい野菜を」という姿勢が生産者に生まれたことの意味は大きいのです。

小粒の果肉に凝縮された生命力

見た目はどうでしょうか。たとえばファーストトマトの場合、一目でそれとわかる特徴がいくつもあります。まず、色。トマトは真っ赤に限る、というのは思い込みです。オレンジ色がかっていても、おいしいものはおいしいのです。光にかざすと、表面をびっしりと覆う産毛が黄金色に輝きます。

形もやさしくありません。内側から実を膨らませようとする生命力と、表面を覆う皮が葛藤して、ごつごつの実になったといえばいいのでしょうか。尖った先端に向かって渦巻く形は、見れば見るほど猛々しいのです。

また、永田農法のトマトは小粒です。そのくせ果肉が緻密なので、ずしりと重く、ほとんどが水に沈みます。中身はどうでしょうか。一般のトマトと比べると、まず、心室の数が圧倒的に多いことに気づかれるでしょう。種を包むゼリー部分はプルプルとしっかりしていて、流れ出てきません。そのうえ香りが違います。特にへたの部分はなんともよい香りがして、この香りだけで、すぐれた生産者は糖度がわかります。ミントのように鼻にすっと通るような香りなら、糖度は8度以上のはずです。さらにビタミンCやカルシウムはふつうのトマトの数倍にもなります。

痩せた土地で、厳しく育てる

このトマトはどのようにつくられているのでしょうか。宮崎県の日向市に奈須さんというトマト名人がいます。彼が最初にしたのは、手塩にかけてきた先祖伝来の畑の土をそっくり他の人に譲り、山からトラックで赤土を運んでくることでした。周囲からは「頭がどうかしたのか」と疑われるほどだったといいます。

永田照喜治氏は、しばしば「土はつくってはいけない。痩せた土がいいのだ」といいます。堆肥だろうと、肥えた土は禁物です。それどころか、ごつごつと石ばかりの岩山を栽培地に再現しています。

肥えた土は不要ですが、その一方で、風と太陽の光はたっぷり必要です。農薬を使わなくてもよい環境で作物を栽培するためには、涼しい風が農園を吹き抜けることが、重要になります。さらに大切なのは、どうやって余分な水分を防ぐかという問題です。プロの生産者のトマト栽培は、100%ハウスで行われます。理由は雨水を防ぎ、乾燥状態を保つためです。

永田農法の秘密は根っこにある

奈須さんの畑の様子をお伝えしましょう。農園の収穫のピークは4月。青々とした葉がうっそうと茂る畑を思い描いていると、その想像は裏切られるでしょう。永田農法のトマトの葉は小さく、チリチリと乾いて黄色がかっています。茎も細いのですが、よくよく見回せば、葉も茎も黄金色の産毛で覆われて、野生のトマトのように荒々しいのです。

土の上にはところどころに雑草が生えています。永田農法では除草剤は絶対に使いません。雑草は手で刈るか、あるいは作物と共存させればいいのです。そして永田農法の最大の秘密は、その土の下に隠されています。

畝の上に乗ってみると、固い土のはずなのに、適度の弾力が伝わってきます。地表近くの土をトマトの根がびっしりと覆っているからです。永田農法で栽培したトマトには直根がなく、その代わり、細かい毛細血管のような根が繁茂しています。これを生産者たちは「うまい根」と呼んでいます。水や肥料をたっぷり与えれば直根がどんどん伸びて収穫量は増えますが、作物はおいしくなりません。

この無数の「毛細根=うまい根」を育てることが永田農法の基本であり、トマトのおいしさの秘密なのです。

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